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カテゴリー「書籍・雑誌」の7件の記事

2015年9月11日 (金)

クイックエース 「ビフォーアフター」番外編? 「旅する自転車ランドナー&スポルティーフの本」 特別企画:アルプス・クイックエースを組み上げる(後編)

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またずいぶん開いてしまいましたが、今回はクイックエース組み上げ記事にポイントを絞って、思う所を書いて見たいと思います。自分が手に入れた車両とほぼ同時期、まさに「40年前の新車」であるわけですから興味津々!

 

 

 

記事の冒頭では、絶頂期に惜しまれつつ閉店したアルプスの車両や用品が、今なお高い人気で取引されていると書かれています。「アルプス」というブランドは本当に孤高で個性的な自転車づくりをしてきたと思いますし、40年前にあまたある輪行ランドナーの中から「クイックエース」を選んだのは、10代の自分にもそこに強いシンパシーを感じられたためだったと記憶しています。

 

 

ただ実際に乗って使ってみた感想として、正直疑問もいろいろ出てきましたし、不具合や使いにくさもけっこうありました。また、決して「美的」な自転車ではないな、というのも当初から現在まで変わらぬ、偽らざる感想でした。この記事は、ひょっとしたら長年抱いてきた様々な「?」に、ある程度の答えが見つけられるのではないか、と期待したわけです。

 

 

さて、記事は組立に入る前に、輪行の歴史とクイックエースの分解方式についてさらりと触れています。自分がクイックエースを手に入れた40年前は、輪行するにはまだサイクリング協会の会員証だの手荷物切符だのが必要でした。それはともかく駅前で電車の時間を気にしながら分解して縛り上げるのはなかなかスリリングな体験で、練習通りにいかずあせってフレームを傷と油だらけにしたものでした。組立も、いつもどこかすんなりいかないところが出て、今一つ完全整備状態で走れた記憶がない、というのが本当のところで、結局あんまり輪行はやりませんでした。代わりに、免許取得後は親から借り出したギャランGTOのトランクに押し込んで「カーサイクリング」の真似事をやったりもしました。GTOのトランク開口はかなり狭かったのでフォーク抜きでなければ積み込めず、この点はラッキーでしたが、それでも分解組立は簡単ではなかったと記憶してますね。

 

 

そんなこんなで実際は分解せずに全走、の方が多かったので、自慢の「分解機能」は自分には宝の持ち腐れであったわけです。となると、逆に蝶ネジとクイックレバーだらけの設計の弱点も顔を出すわけです。何となく締め付け甘いよね感。後には大分構造見直しされたようですが、1974年型あたりではまだプリミティブな作りも散見されて、精度や強度には不満もありましたね。というわけで、「経験の浅い乗り手」という悪条件下の感想ではありますが、正直とても素晴しいぞとまでは残念ながらね、結論付けられなかったわけです。

 

 

記事は「アルプス式輪行車」の要である、「フォーク抜き輪行」について説明しています。まさに画期的であったわけですが、実際にやってみると結構面倒くさく、手間のかかるものでした。また74年式ではヘッドベアリングのリテーナーがシールドされていませんので、分解時グリスべたべたになりました。かといってグリスをふき取ってしまう訳にもいかず、一方で砂など付着したらアウトですし、結論として言われるほど便利とは思えない代物でした。売り物のヘッドクイックバンドも玉押しの締め付け具合がけっこう微妙で調整が難しく走行中に異音が出たりと、大分悩まされたというのが本音です。

 

 

また、分解したフレームと後輪とフォーク付きの前輪部分を拘束ベルトでまとめるのですが、フォークが回ってしまうために良い位置に重ねるのが至難の業で、これにハンドルを知恵の輪のようにはめ込んで、となると、正直苦行ですらありましたね。フレームに傷もつけずにすんなり分解組立が出来るヘビーユーザーの方がいらっしゃるんでしょうけど、もう尊敬以外の何ものでもないです。もちろん記事には、そんな下手くそのネガティブな思い出など微塵もなく、名車名車の連呼が続くわけです。ま、いいですけどねw

 

 

続いて記事は今回の組立企画の中心となる、1975年製のフレームの話になります。自分にも最も興味のあるところです。「塗り替えた」とか、「キャリアを新作」などとある事から良く読むと新品のままという訳ではなさそうですが、綺麗なイエローで再塗装されているのが見て取れ、大いに期待が高まります。自分は注文の時に色を決めて行かなかったので、10数色くらいの基本色サンプルの中から選べず、200数十色のカラー見本帳の中からサックスブルーを選ばせてもらった思い出があります。記事の車両はマーク・バッジ類は新品のようで、レストア時諦めた自分にはうらやましい限りです。



 

記事ではフレーム材質について触れてませんが、自分の記憶では「クイック・エース」(自分のはこれです。表記は1981年の広告から)は74年当時いわゆるハイテン管フルセットでした。‘81年にはメイン3本がクロモリになると「クイック・エース・スーパー」、クロモリフルセット(で、たしかフルオーダー)のものは「スーパー・エース」と呼ばれていたようです。が、74年ごろの雑誌を紛失してしまったので当時どうだったか定かではありません。モデル末期では普通にクロモリフルセットだったのでしょうかね。記事のフレームは子細にみるとフォーク直付けのランプステーがパイプ若しくは鋼線(自分のはプレス品)、チェーンガードがゴムタイプ(自分のは鋼線を曲げたもの)、Fディレーラー台座が直付、Wレバー台座がサンプレ用、何よりシートステイ上端が2本巻など、上等な工作が随所にありますので、少なくとも「クイック・エース・スーパー」グレードではないかと推察されます。



 

以前ブログで書いた、自分の車両で最大のミステリー「フロント側カンチ台座の芯々寸法狭すぎ」に関しては、「650Aのポジション」で、「ブレーキはマファッククリテリウム、台座の寸法次第ではこれを使うのは無理があるが、このアルプスにはぴったりだ」という記述があり、取付けに特に問題は無かったように読み取れます。ただ確かなことは言えませんが、リヤブレーキのアップ(といっても小さい写真ですが)ではブレーキフネのシャフトにアーチワイヤが乗り上げているように見えます。つまりカンチのアームが水平より下を向くようなセッティングになっているわけで、この原因はやはり台座の間隔が狭すぎる為ではないかと推察します。フロントもブレーキ部の大写しがないので確認は出来ませんが車両全体写真を見る限り同様の取付け状況に見えますね。これは自分の車両に近い取付け状態に思え、もしそうなら「ぴったり」のはずはないのですが・・・で、結局謎は深まってしまいましたw。

 



一方、自分はさんざん苦労したサンプレRディ レーラーの取付け調整については特に何も触れられていませんので、プロがやればなんてことなかったのでしょうw 自分の車のサンプレ専用ストドロエンドは恐ら くトーエイ製のプレス品で、やや強度不足で曲がりが出やすいのと、通常はつけたままで使う直付け用金具を外して取り付ける構造なので、テンション調整に技 術が必要なのが難点でした。記事のフレームも恐らく同じ構造と思いますが、これもまた謎のままでw




泥除けは、リヤの分割部の処理に後期モデルでは特殊な構造の専用連結金具を使っていたようですが、自分の74年型は記事同様の手作り感満載の構造で、板厚分の段差がご愛嬌でした。この接合部分とエンド部のステー止め金具(ステッパーというのだそうです)の蝶ネジが緩みやすくて苦労した思い出があります。またこの構造の為シートステーブリッジの貫通穴が通常と違い上下方向なのでセンタープルが使えず、カンチ台座間隔の狭さと合わせてブレーキ交換品選定の際に大変苦労した思い出があります(結局シマノ・アルタスしか使えませんでした)。

 

 

またフェンダーステーのフェンダー側取付けがダルマ2個となっている理由について、フロント側のトークリップとの隙間確保の為、と記事に書かれてますが、これは分割取り外しされたリヤフェンダーのステーの位置決めが主目的のように感じます。各部のネジ穴の規格がやはり現行と違っていたようで、自分もレストアの時に修正に苦労しました。またフェンダーとタイヤの隙間設定が広い(というかあまり気にしていない)のは、開発初期の道路事情(まだ地道を走ることが多かった)に適合する実用性・機能性第一のコンセプトから来るものだったのだと、記事を読んで改めて納得しました。ハンドルステムは自分のは吉貝グランコンペで、記事の車両(引き上げボルトなし)と違って引き上げボルトのシャフトを切断し頭のみ埋め込んでいるので一見普通の見栄えです。

 

 

その他自分の74年型ではクイックヘッドバンドと一体式のブレーキアウター受けが強度不足で曲がり気味だったり(写真では記事の車両も同仕様に思えます)、クイックシートピンのレスト位置がどうにもしっくりこなかったり(記事の車両も変ですw)、記事を読み写真を見ているとあれやこれやと「思い出」がよみがえってくるわけです。それらは必ずしも良いものとは限らず、むしろ苦労話的なものの方が多いのですがw

 

 

 

色々書きましたが、今回非常に興味深い記事に接して、積年の疑問が必ずしもクリアーになったわけではなく、むしろますます分からなくなったり、やはりこんな程度だったんだなという部分もありますが、同時に自分の「1974年型クイックエース」は、完成形ではないにしろそれに向かって日々進化を続けてゆく、「誇り高き」その過程の一台であった、という思いは強くなりました。作り手側のスタンスは工房ごとに様々でしょうが、「お客様の言う通り何でもしまっせ」ではなく、「うちはこれです!」という作り手側のコンセプトをこれほどタイトに最後まで貫き通した自転車ブランドをほとんど知りません。どれほど(たとえ原形が分からないほど)いじり倒しても今もまだ1974年型のクイックエースにこだわっているのは、やはり「思想のあるメーカー」の、「思想のある名車」への敬意が根底にあることを再認識できましたし、だからこそこれからも乗り続けてゆきたいなと、改めて思うのでした。

2015年6月23日 (火)

クイックエース 「ビフォーアフター」番外編? 「旅する自転車ランドナー&スポルティーフの本」 特別企画:アルプス・クイックエースを組み上げる(前編)

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たまたま入った書店でGETした「旅する自転車」の最新刊。読み進むうちに、なんと!アルプスクイックエースをフレームから組み上げるという記事が!しかもうちのQAとほとんど同時期の1975年型!これはしっかり読み解かない訳にはいきませんねぇ!・・・・・・



枻出版社のおなじみ時代錯誤企画?シリーズ「旅する自転車」の最新刊、なんですが、ケチをつけるわけではないですが「Vol.4 ルネ・エルス解体新書」までは「旅する自転車の本」というタイトルで、その後は旧車レストア本3冊などで目先を変えたと思ったら、今回は「・・・の本」表記がタイトルの最後の最後に来て、まるで総集編か?という勢いですw このあとどうする気でしょ?


副題?も「美しきツーリング車の買い方がわかる!」となっていて、今どきwランドナー系を大枚払って手に入れようなんていう変わり者向けのバイヤーズガイド、という感じの編集になっているようですね。こう書くと、時代遅れの、昔の経験や考え方から離れられない年寄りの一部マニアや愛好家(ほぼ自分ですがw)の為の、ちょっと痛い偏屈ムック雑誌、なんて意地悪く考えちゃうところなんですが・・・



意外やそうとも言い切れない!むしろ「新しい形の趣味系自転車」「新世代ランドナー&スポルティーフ」のアイデアや情報が一杯の、そして個人的には「これを待ってたぜ!」と言わせていただきたいくらい今までのシリーズ巻に比べ圧倒的に「新ネタ満載」の一冊になっていると思います。もちろん旧車や懐かしパーツネタもイッパイでそれはそれで楽しいですし、新ネタも基本的には昔ながらの日本的ランドナー&スポルティーフの考え方を現代の工房の技術や最新パーツで表現し進化させてゆくという流れの上で紹介されていますので、正直まだこんなことやってんの?という記事も無くもないです。それでも、「ブルぺランドナー」の各作例や、「ショップオリジナルランドナー」で紹介された、ランドナーの様式美を十二分にリスペクトしながらも時代に沿った新しい装備と機能性能を貪欲に取り入れ見事にバランスさせた自転車たちを見るにつけ、数年前では考えられなかった「素敵な未来」をね、感じてしまうわけですw




特に「ブルぺランドナー」の特集で取り上げられた自転車はどれも素晴らしいですね。競技の性格上まずは性能ありきでしょうから、現代の最新パーツで組み上げているわけですが、どの車両もクラシカルな「ランドナー系」の美意識でまとめあげられていて、高度なエレガンスを感じます。ではなんでレースにランドナー?という所なんですが。確かにブルぺほどの長距離となれば、いくらロードバイクが軽くて速くても、ランドナー系の美点である「居住性」というものがかなりのアドバンテージになるであろう事は、全く素人の「街乗り専門ヘタレ系オヤジ」にも少しは察しが付くところです。ので、いろんな意味でブルぺランドナーという考え方は面白いと思いました。こういう自転車が成り立つようになったのも、クラシカルな美意識と現代最新の性能基準の両方を満たした、新世代のランドナー向けパーツ群がついに、ついに充実してきたおかげであることに相違ありません。良い時代になってきたものです!




一方、「ランドナー」=「旅自転車」ということを改めて考えてみると、まず「ブルぺ」を走る事は「旅」なのか?という疑問はありますね。競技には違いないのですから、のんびりイメージのランドナーで?という素朴な疑問はね。歴史的に考えれば、フランスの手作り高級車工房華やかりし頃、技術コンクールと銘打ってキャリアフェンダー等フル装備の超軽量自転車を作って競い合い、見せるだけでなく耐久レースもやって優劣を決していたそうですので、その流れからブルぺへと考えれば現代でもランドナーで出場もありなんでしょうけれどね。




じゃあ逆に「自転車の旅」ってなによ、と考えた場合、ほとんどの距離を「輪行」や「自動車」にのって、目的地周辺で組み立てて数十キロ走るとか、せいぜい2~3泊の旅程で全走程度てのは、「自転車の旅」ってほどのものかな、なんてね。この論法だと、キャンピング車以外はみんなダメみたいな原理主義的になっちゃいますので、「走行距離にかかわらず、目的地周辺を旅行気分で楽しく気持ち良く走れる趣味的自転車の一形態」が「ランドナー」くらいに軽く考えておいた方がよさそうですね。




そんなお気軽趣味的旅自転車であるランドナー種(特に日本式)の中でも、とりわけ「ほとんどの距離を電車に乗って輪行し、目的地周辺で組み立てて美味しいところだけ走る」お気楽スタイルを徹底追及したこだわりの名機が、「アルプス クイックエース」であったわけです。あー長かったw この本では1975年製の新品フレームをアルプスを知り尽くしたビルダーの方が組み上げ、その過程を詳細にレポートするという、非常にコアな記事がのっています。というかフツーの方には本当にどうでも良いネタなんでしょうがそもそもこんな本(ごめんね)を買うような人(重ねてごめんなさい)にとっては確かに結構興味をそそられるネタでしょうし、ましてや1974年製のそれを、ほとんど別物に成り下がっているとはいえ未だに乗り回している変わり者のおじさんにとってはね、これは外せないぞ!と食いついちゃったわけです、はい。





さて、この「旅する自転車ランドナー&スポルティーフの本」、そんなわけで旧車旧パーツじゃないといやだいやだのわがままさんから、最新パーツでがんがん走るのじゃの新し物好き現役バリバリ派まで、「ランドナー系」のデザインや世界観が好きな方なら幅広く楽しめるとても楽しく内容の濃い本になってます。良い時代になって来たなあ、という所で前編は終了w 後半はクイックエースの記事を読み解きながら、自分のクイックエースとの比較や思ったこと、疑問だったことをまとめておこうと思います。こんな機会はめったにないと思うのでね。





いや、ほんとにラッキー!

2010年12月25日 (土)

「旅する自転車の本 vol.2 快走ツーリング車スポルティーフが欲しい!」 モノ目線なら納得の一冊

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先日の「CYCLO TOURIST」誌に続いて、また買っちゃいました。実はここ2年近く、自転車雑誌はほとんど買ってなかったのですが、これら自分の欲しい情報が凝縮されたような雑誌には、少々高くてもやはり触手が動いてしまいます。

  
 

「自転車生活」や「ロードバイク ライフ」でおなじみの枻(えい)出版社さんの、一応vol.2ですからシリーズものなんでしょうけど、次号予告など一切ない、雑誌よりはムック本?な、けっこう作り手側目線の編集の本です。「自転車生活」はクイックエースリフォームの頃に暫く続けて読んでいましたが、まあ専門誌にはありがちとおもいますが1年も読むと大体もういいや、という感じになってきて、しばらくご無沙汰していました。タイトル通り内容が比較的旅行記中心で、しかも輪行ネタばかりという印象でしたので、もう少し「モノ目線」の情報を求めていた当時の自分としては、少しばかりターゲットから外れていたのかもしれません。かといって某ライバル誌(?)は少々対象年齢が低い印象で、大人目線の「自転車とパーツ」を中心に据えた雑誌は意外とないのが実情でした。

  
 

先日紹介した「CYCLO TOURIST 旅と自転車 vol.1」誌(良く似たタイトルだねこりゃ・・・)は、そのあたりの自分ニーズにかなりストライクだったのですが、今回の「旅する自転車の本 vol.2 快走ツーリング車スポルティーフが欲しい!」はさらにモノ目線が強く、現在雑誌から得られるランドナー系情報としては最強ではないかとおもいました。

  
 

実はvol.1のときから気になってはいたのですが、1はなぜか思ったほど心に響かなかった記憶があります(買っていません)。このvol.2はスポルティーフ特集ということもあり、今の自分の自転車趣向性により合っているのと、「CYCLO TOURIST vol.1」では少し気になったランドナー将来像への提言の弱さに対し、より積極的に取り組んでいることも好印象でした。今さらビンテージパーツで組んだ自転車の自慢話より、それは当時の名車やパーツの紹介に託して、現代のパーツや、将来の発展イメージをバランスよく見せてくれる、そんな姿勢がvol.1の時より明確になっているように感じました。

 
  

とはいえ、やはり純粋にデザイン的なバランスからいえば、ランドナー系は細いクロモリフレームなら繊細でスマートなオールドパーツのほうが似合うのも真理。今時の太いクランクやごつい量感のRディレーラーでは確かに「趣味性」は不足しますねぇ。でも「昔は良かった」では裾野は広がらないわけで。先進の機能と最高レベルの性能をあわせ持ちつつ、珠玉のビンテージパーツに負けない美しさを持ったランドナー用パーツの出現と充実を切望しますが、そのためにはまず「ランドナーの復権」が前提でしょうから、これはニワトリタマゴですかね。これら2誌のような、質の高い本がもっともっと読まれるようになることも大切なのでしょう。各誌編集の皆さん、どうかよろしくお願いいたします!

  
 

いずれにしても、素敵な本が立て続けに手に入ってニコニコです(杉浦茂風)。おじさん自転車乗りには、良い風が吹いてきたのかな?

2010年12月18日 (土)

「CYCLO TOURIST 旅と自転車 vol.1」 ランドナー復権の足音?

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ぶらりと入った本屋さんで見つけました。「CYCLO TOURIST 旅と自転車 vol.1」(グラフィック社)です。最近よくあるランドナー特集の単発ものとおもったら創刊号ということで、価格は1500円と高めですし次号は来年の5月予定とのんびりペースですが、続いてほしいですね。

 

 

名の通り「自転車と旅」がテーマということですが、「旅自転車≒ランドナー」と位置付けているようですので、その入り口としての創刊号ランドナー特集ということのようですし、今後もランドナー(とその周辺のスタイル)が主体の展開だとおもいます。ランドナー初心者の若い方から、やっぱり自転車はこれだよね、といううるさ型の年配のランドナー世代まで、それぞれの知識経験レベルで楽しめる良くまとまった構成になっていて、前述の通り最近見かけだしたこの手の本の中でもバランスが良い感じだとおもいます。買った理由もそのあたりかな。他の本はもうひとつ心に響かなかったのでね。

 
 

若き日に「ニューサイクリング」誌の記事などでお名前を伺った「伝説の」鳥山新一博士のロングインタビューや、東叡社のかなり詳しい社歴など、昔でも十分に得られなかった貴重な情報記事が満載でまず楽しめますし、ランドナーという自転車ジャンルとそのスタイルについても、さまざまな視点からのこだわり記事があり、あらためてかなりお勉強になりますね。

  
 

欲を言えば、もう一歩、ランドナーのこれからの姿というか、進化の可能性など未来を見せていただけたらとおもいました。現行のパーツを使った製作例はあって、それはそれで良くまとまっているのですがね。ただその作例もスタイルと機能は十分にランドナー「的」ではありますが、「趣味性」とか「新しさ」となるとどうかなあ。もっとも懐かしくて風情はあるが性能はどうなの?というようなビンテージパーツを今時無理やり集めて組み立てて、懐古趣味に浸るだけでは自転車文化としての先はないでしょうし、読者サイドとしてもそれなら昔のクルマの貴重な写真を見せてもらうほうが楽しいでしょうね。でもそれだけでは結局ランドナーという概念はごく一部のマニアのものから脱皮出来ないでしょうし、未来を提示出来なければ真に復権することはないでしょう。

 
 

記事の端々に、「輪行大好き」と「マッドガードフェチ」な印象が散見されてほほえましいのですが、かつて輪行車の雄「ALPS クイックエース」でランドナーライフを楽しんだ世代としては、決して当時のランドナーの機能や構造、性能が、十分満足できるものであったとは考えていませんし、今のロードバイクやMTB、クロスバイクや高級フォールディングバイクに比べても決してほめられたものではないとおもっています。だからこそ駆逐されてしまったのであり、だからこそ昨今の「復活」はビンテージパーツなど「大人の趣味性」にたよる部分が大きいのでしょうね。

  
 

雑誌編集としてはもちろん「大人の趣味性」に絞り込んでビンテージなネタで押していただいても結構なのですが、でも執筆サイドがランドナーという素晴らしい概念をもう一度広めて育てるぞ!という気概をもしもお持ちでしたら、ランドナーの未来像構築にぜひ挑戦していただきたいところです。たとえば全体のスタイルや雰囲気はホリゾンタル+クロモリ+特殊工作満載でヘリティジをキープしながら、電動シフトとかナビゲーションとかカセット式の前後バッグとか、機能とインターフェースは最新技術を惜しげもなく投入する、なんて言う感じのドリームマシンを、ぜひぜひ見てみたいとリクエストさせていただきましょう!

  
 

次号の特集は「峠」だそうです。昔の人にはイメージですけど、今の方にはランドナーである必然性はないかもしれませんね。でも、新しい視点に乞うご期待です。

2009年6月21日 (日)

「シャーロック・ホームズ」と「シァーロク・ホウムズ」(読まないほうがよいですよ・・・)

090621sh2ふつう、「シャーロック・ホームズ」って言いますよね。ところが角川文庫版は「シァーロク・ホウムズ」という名前ででてました。自分的には、角川版のほうが先におなじみになっていたようなんですね。

 

ところでこの話、まわりくどいだけで皆さんのお役には何ひとつたちませんので、あらかじめ、読まないほうがよいですよと言っておきます・・・

本当にどーでもいい話です!

たとえ読んでしまっても、うらみっこなしですよ!!!

  
   
  
  
  

小学校時代に読んだ児童文学版「まだらのひも」や「ルパン対ホームズ」などをのぞけば、本格的にホームズものを読み始めたのは中学時代でした。手元にある当時買い集めた文庫版の「聖典」をみると、一番古いとおもわれるのが昭和47年(1972年)11月、第33刷の長編第一作「緋色の研究」(新潮文庫版)です。つづいて、第2短編集の「シァーロク・ホウムズの回想」(角川文庫版)の昭和48年(1973年)となります。それ以外は昭和49年版以降の入手です。以上が、巻末の発行時期からわかります。

  

さて、現在所有の第1短編集、新潮版「シャーロック・ホームズの冒険」は昭和58年版(1983年)、です。角川版の「生還」にあたる新潮版第3短編集「シャーロック・ホーム ズの帰還」も同様です。で、なぜかその角川版「シァーロク・ホウムズの生還」ももっていて、それはなぜか昭和60年版(1985年)で、しかも古本(220円のエンピツ書きあり)です。つまり、「生還」は、かなりあとにわざわざ買い足しているわけですね。  

 

090621sh1 ところが一方、中学時代のかすかな記憶では角川文庫版の「シァーロク・ホウムズの冒険」と「シァーロク・ホウムズの生還」の両方か少なくともいずれかを、一番最初(つまり、昭和47年ごろ)に「新品で」買って読んでいる気がするわけです。つまり記憶の中では角川版「冒険」と「生還」は、最初に読んだホームズ本のはず。なのに現在手元にはかなりあとに買ったとおもわれる新潮版「冒険」と、角川版とはいえ妙に新しい、しかも古本の「生還」しかない!

  

こう考えると、実はこの最初の角川版の2冊は、どうもはるか昔に紛失したのではないかという気がしてきたのですが(!)その紛失した記憶がない(!!!)。これがこの「今回の事件」のもっとも重要な原因なのだよ「ウォトスン(ワトスンの角川式表記)」!


  

紛失したらしいとどうして思い出したかというと、かすかに記憶に残っていたある短編のエンディングの文章からなんです。

 

090621sh4 角川版「生還」(新潮版では「帰還」)に収められている「スリー・クォーターの失踪」(新潮版では「スリー・コータの失踪」。編集の都合で「シャーロック・ホームズの叡智」いう短編集に掲載)の訳文が、本当に個人的な趣味趣向ではあるのですが、「先に読んだ」角川の鈴木幸夫さんの訳の方が「あとに読んだ」新潮の延原謙さんのものより好きだったという強い記憶がありました。


  

現在手持ちの角川「生還」と新潮「帰還(叡智)」の発効日では新潮版のほうが古いです、しかも中途半端に。しかし先ほどの記憶では、角川版をかなり先に読んでいなければ矛盾がおきます。なのに角川版のほうがずっと新しく、しかも話は新潮版と重複するのにわざわざ古本を買ってまで角川版を手に入れている。これがこの事件のカギのようです!


それをもとに推理を組み立てると、こんな感じになるとおもいます(なんのこっちゃ!)。

 

まず犯人(だれのことじゃ!)は、昭和47年(中2くらい)ごろからシャーロック・ホームズになぜか(ここの動機はいまだ不明・・・)興味をもち、角川文庫版短編集「冒険」「生還」を入手し読破。続いて新潮文庫版「緋色の研究」を読んだ後、再び角川にもどり「回想」を読んだとおもわれる(この「回想」は現在手元にあるもの)。この角川版へのこだわりの原因は、鈴木幸夫氏の訳文をすでにかなり気に入っていたためと考えられる。

 

 

090621sh3 ところが、角川版は上記短編集3冊しかホームズもののラインナップがなく、やむを得ず第4短編集「シャーロック・ホームズの最後のあいさつ」は、たまたま本屋にあった創元推理文庫版を入手。その後第5短編集の「シャーロック・ホームズの事件簿」を始め、「叡智」「四つの署名」「バスカヴィル家の犬」「恐怖の谷」は、すべて新潮文庫版に絞りつぎつぎに手に入れ、これにてすべての「聖典」を読破した。

   

その後、おそらく大学時代か入社したてのころに角川版「冒険」「生還」を紛失。補填のためとりあえず新潮版「冒険」「帰還」を昭和58年(1983年)以降に買い足したのだが、延原さんの文体になじめず、その後改めて角川版「生還」を入手。昭和60年版(1985年)を古本で買っていることから、85年以降角川版は新品での入手は困難になったと推察。現在は絶版の模様。

尚、動機は不明だが「回想」の新潮版「シャーロック・ホームズの思い出」についても、この頃入手しその後紛失したと思われる(現在手元にない)。理由は、 第1話、角川版での「シルヴァ・ブレイズ失踪事件」の新潮版「白銀号事件」について、タイトルと訳文の違いによる違和感をけっこうはっきり覚えているから である。おそらく、新潮版全巻をそろえたくなったとおもわれるが、そのわりには「最後のあいさつ」は買っていないはずで、こんなところにも犯人のいいかげんな性格が見え隠れしている・・・
尚、角川版「冒険」についてもおそらく探したとおもわれるが、Amazon.co.jpもない当時、結局入手できずに忘れてしまったと推察。

 

 

以上が、この「事件」(どこが?)の真相とおもわれます。犯人(だからだれが!)は若いうちから物忘れがひどく、持ち物の管理能力も欠如していたとおもわれます。そして今回の悲劇(だからどこがよ!)の最大の原因は、妙に訳文の好き嫌いにこだわった、中途半端な「オタク」的思考&行動によることは否定することはできません。

  
  
  
  
 

「ホウムズさん、まあこんなわけなんです。どうか貴方とこちらのお友だちの方の思慮ある御判断をお願いしたい」
ホウムズは博士の手を握りしめた。
「行こう、ウォトスン君」彼は言った。そして我々はこの悲しみに満ちた家から、冬の日の薄い陽ざしへと出たのである。
 (引用:「シァーロク・ホウムズの生還・スリー・クォーターの失踪(エンディング部抜粋)」角川文庫刊、鈴木幸夫訳 より)

・・・・・・だから言ったでしょ、おこっちゃだめだって・・・

「ラゴンダン」あるいは「とびきり細かい砂の広場」を探して!

7jpeg21ずっとひっかかっていることがあります。小学校の頃に読んだ、大好きだった「児童向け推薦図書」のタイトルが、まったく思い出せないのです。キーワードは「ラゴンダン」!
  
  
  
  
 
   
  

たぶん、小学校4年位(ですから1968年前後)のときに、世○谷区か東○都の推薦図書か課題図書になったものとおもうのですが、タイトルも作者も、まったく思い出せません。過去何度か、インターネットで検索を試みたのですが、ヒントすらつかめていません。

 

たぶん、夏休みか何かの感想文の対象になったのだとおもいます。内容はSF系小説というか、主人公の男の子が夜寝ていると不思議な世界に引き込まれ、怪しげな「博士」に出会い、たしか「ラゴンダン」という名の、食べ物にでも宇宙船の材料にでもなんにでも使える超万能物質を駆使して、「とびきり細かい砂の広場」など不思議な世界を冒険した末に、気がつくと自分のベッドで目が覚めるという、きわめてありがちですが子どもには大好物のお話だったとおもいます。その後も、卒業までの間に何回か借りて読んだとおもいます。そのくらい面白くて大好きだったのに・・・

  

本の名前はおろか、主人公の名前も、博士の名前も、大体がストーリー自体、ほとんど覚えていません。この年代の「課題図書」をいろいろ検索しても、見当すらつきません。小学校に出向いて、事情を話し学校の図書館をさがさせてもらえばなどと妄想したこともありましたが、そんなこと出来るわけありませんよね。 

 
   
  

「ラゴンダン」という万能物質の名前の記憶だけはまちがいないとおもっています。それだけに、ものすごくモヤモヤした気分です。果たしていつか解明できる日が来るのでしょうか?こういうことがあるので、きっと日記って大事なんでしょうね・・・
(注:イラストは自作のもので、本件には関係なしです念のため・・・)

2009年5月 8日 (金)

シャーロック・ホームズの功績

090505sh1「シャーロック・ホームズ」は小学校の頃、図書館で子供向け推理小説シリーズとしていくつかの話を読んだのが最初だと思います。

怪盗紳士「アルセーヌ・ルパン」も同じシリーズで読んだのですが、ご存知の方も多いと思いますがこれにホームズが登場する話があります。(一応、たしかエルロック・ショルメズとか名前を変えられていましたが、まるわかりです。)

もちろんルパンが主役のシリーズで、しかもフランス人がイギリス人を描いてるのですからホームズはだいぶ分が悪い役回りでした。考えてみると、これが「贋作ホームズ」との最初の出会いでしたね。

「聖典」(原作を、マニアはこう呼びます)全60話を読破したのは中学から高校にかけてでした。Wikiにはなぜか載ってませんが角川文庫版の「生還」「回想」をはじめ、定番の新潮版と創元版と、たまたま本屋にあったものをばらばらに買って読みました。


すべて読んでしまうと、もっとないのかと思い始めるわけで、ここでパロディ作家のワナに見事にはまってしまいました。

ホームズ物は、知る人ぞ知る、実に多くの贋作やパロディが世界中の作家から発表されています。しかも堂々と!だいたい、贋作が大手を振ってまかり通っている小説なんて、なかなかないですよね。

以来けっこういろいろ贋作ホームズを読んだと思いますが、メジャーな雑誌社の文庫本で出版された物ばかりですので、その道に詳しい方なら特に珍しいというものはありません。


この「シャーロック・ホームズの功績」(ハヤカワミステリ刊)は、コナン・ドイルの息子アドリアン・コナン・ドイルと有名なジョン・ディクスン・カーがコンビを組んで書いたということで、「血縁」関係のしっかりした
「正統的な贋作」
というところが一番の売りです。本当は後継者になりたかったのでしょうか。しかし内容的には親父様にとてもかなわないレベルですね。12作中、後半はカーが一人で書いたようで、息子は途中で挫折したのでしょうか?

  
 

ただ、時代の雰囲気、原作の雰囲気はよくとらえており、個人的にはけっこう好きな一冊です。とくに最終話のエンディングの部分は、ぐっとくるものがあります。機会があったら、一度読んでみて下さい。できれば「聖典」を読破したあとで・・・

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