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2013年1月19日 (土)

「ガメラ 大怪獣空中決戦 デジタルリマスター版」 日本的怪獣映画の総決算?

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年末に例によって「発作的に」アマゾンポチッとしてしまった平成ガメラ三部作DVD。久しぶりに、そして初めて三作比較しながらしっかりと観ましたが、改めて和製怪獣映画の傑作中の傑作と確認したと同時に、思っていた以上に各作品のタッチの違いを感じたりして。

 
 
 

ガメラ平成三部作は大映が徳間書店傘下だったころの作品群ですが今は角川書店から出ているDVDデジタルリマスターコレクション、アマゾンで一巻あたり2100円以下で入手できました。邦画DVDは高いイメージですのでありがたいことですが、そのかわり「劇場予告編」以外何もおまけコンテンツは入っておらず、ちょっとさびしい内容ではあります。画質自体は我が家の貧弱なインフラでは腹は立たないレベルですが、大画面のご家庭ではどうなんでしょうという程度のものですね。

 
 

まずは記念すべき平成ガメラシリーズ第一作、「ガメラ 大怪獣空中決戦」(1995年3月公開)を観ました。今回この三作の中で一番観たかったのが本作です。劇場公開時に三作中一番強い印象を受けたのですが、その後「ガメラ2」以外はTV放映時録画をし損ねていて、好印象の割にディテールをあまりはっきり覚えていないためでした。

 
 

自分的評価では三部作の中で一番好印象だったと思ってました。同時に、少なくとも公開時点までの和製怪獣映画の総決算的な作品という印象を持っていました。今回改めて観終わった後もその後数回観た後も、そのイメージはいささかも変わることはありませんでした。それは設定やストーリー、特撮技術などの基本的な要素はもちろん、それを踏まえたうえでの「見せ方」が、まさにそれまでの「怪獣映画」のセオリーをしっかりと踏襲しつつ、さらに「こうあってほしかった!」という怪獣映画ファンの潜在的願望に見事に答えた的を得た演出と味付けが全編にわたってなされていることによると思います。

 
 

最初のカットはもちろん海。海原を進む輸送船に「事件」が起きる導入部。並行して小さな島におきる怪奇現象。調査に向かう主人公。このあたりはディテールこそ違えまさにゴジラ1954を彷彿とさせる流れです。タイトルロールの出演者などの書体もわざわざ昔風に筆書きにする凝りようで、「和製怪獣映画の始祖」に敬意を表しているようです。その後のストーリーの流れも、大きくは「二大怪獣対決」系怪獣映画のパターンをしっかりと踏襲しています。ガメラでもゴジラでもおんなじで、敵役の怪獣がまず上陸。後を追うように主役怪獣が現れて大ゲンカ。自衛隊も巻き込みいろいろあって、最後は主役怪獣が勝利してめでたしの、キンゴジ以来の黄金パターンまんまです。特に昭和ガメラはほとんどこれと思いますので、ガメラ復活を分かりやすくアピールするためには外せない背骨であったのでしょう。

 
 

なので、下手をすればなんだいつもといっしょで進歩がないね、とか、今どき古臭いねで終わってしまいかねない「定番パターン」なんですが、それを考え抜かれた脚本と演出手法と凝りに凝った特撮技術でとことん磨き上げ、むしろ安心材料へと転化させて見せたスタッフの手腕に改めて感じいった次第です。「樋口アングル」というか、怪獣を下からあおるように写して巨大さを強調する手法をはじめ、あまりにも有名な「夕焼けの東京タワーに巣を作るギャオス」の美しいシーンなど、とにかく怪獣をリアルにカッコよく見せる画面作りについてはありとあらゆる工夫がなされており、また見事な効果を上げていますが、それらの多くはここまでの平成VSゴジラシリーズでも成し得なかった斬新なものといってよいでしょう。また、特撮のレベル自体ももちろん当時としてはかなり高いものと思いますが、なによりもミニチュアや着ぐるみや未熟なCG使用による不可避的な「アラ」を、本当に丁寧にしかも上手に「ごまかして(良い意味ですもちろん!)」リアルに感じさせる技術と作りこみ。これらこそが、自分も含めた昭和からの「東宝&大映特撮怪獣映画ファン」たちの恐らく誰もが持っていた「もうちょっとこんな感じだったら更に良かったのにな」的な不満をほぼ一掃してくれた、この作品の最大の魅力であり、成果だと思います。

 
 

一方「女性が(事実上の)主人公」(正式には伊原剛志さんですがどう見てもね)というパターンはここまでのゴジラ&ガメラではなかったはずで(マッハさん除く・・・)、この点は新境地といえると思います。もちろんVSシリーズの超能力少女とかメカキングギドラの女性パイロットとか大活躍の準主役級女性はいろいろいましたが、本作の中山忍さんが演じた「長峰」ほど、物語の中心人物として男まさりの大活躍をするキャラクターはいなかったと思います。というか、彼女のやっていることは要は通常の「男性主人公」の役柄そのものであり、そこにうら若き、しかもとびきりのカワイ子ちゃん(死語)を当てはめただけ、と言えないこともありません。まあ、それこそが「斬新なアイデア」であったわけなのでしょう。

 
 

ストーリーのディテールについては古代文明とか巫女とか勾玉とか生体兵器とか、当時でもすでに「こなれた」キーワードを、「ガメラとギャオス」という既存のイメージに違和感なくうまくからませて、新しさは感じられないものの程良く上手にまとめていると思います。こういうのはやりすぎたり逆にあまりにいい加減だとそこで引っかかって入り込めなくなってしまうのですが(例えばVSキンちゃんのタイムパラドックス問題)、本作はそのあたりの味付け具合は絶妙で、非常に良いテンポでサクサク進む演出にも助けられ、かなり気持ちよく物語世界に身を置くことが出来ると思います。とはいえ、全体にリアルでシリアスな雰囲気で進む作風の中で、ガメラが最初に脚からジェット噴射して福岡ドームから飛び立つシーンだけは、「ありえねー」的違和感が一瞬「ガメラだから当然でしょ」というお約束的理解を超えてしまったことも事実です。まさに怪獣映画とは、ありえない出来事と現実感の「摺合せ」の産物である、と、再認識させられたシーンでしたね。

  
  
 

という事で、いろんな意味で怪獣映画の見事な総集編ともいえる本作はやはり「日本の怪獣映画の歴史」の中でも屈指の傑作であり、重要な作品であることを再確認することが出来ました!本当にポチッとして良かったと心から思いますね。で、めでたしめでたし、なんですけどね。同時に、「黄金パターン」はこれでもう打ち止めでいいや、もう十分、とも思っちゃいますので、自分にとっても、そしておそらく怪獣映画関係者にとっても、本作以降については限りなくハードルが上げられた格好ですね。でも結局、ゴジラもガメラもこの先もずっと黄金パターンを追求し続けたわけで、今考えるとそのことも今日の怪獣映画絶滅時代を招いた一因だったのかな、とね。

  

  
 
 

にしても、本作のガメラは少々漫画的な可愛らしさがやっぱりチョットね、気になります。改めて見直してもやっぱりね。ギャオスのあの生物感あふれるリアルで恐ろしげな表情に比べるとバランスが悪く感じられて、どうしてこうなっちゃったのかなとね。次作「ガメラ2」では「短期間で進化する」という無茶な設定のおかげで相当カッコいいデザインに変化しますが、あのデザインで本作を作っていたらパーフェクトに近い自分評価となっていたと思います。これがために、残念ながら自分的にはまだ怪獣映画に未練が残った、とも言えるわけで。この後も更なる名作を期待し続けるわけですがね。果たして「ガメラ2」「ガメラ3」はそんなわがままなおじさんを満足させてくれたのでしょうか?という所で次回に続く・・・


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