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2011年1月15日 (土)

「東宝特撮映画DVDコレクション」第34弾 「惑星大戦争」 実はスター・ウォーズ援護射撃に発進したヤマト実写版?

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まあ多分、このDVDコレクションに漏れていたら絶対観なかったとおもうのですが、怖いもの見たさ(?)で入手しました。作品の出来はまあいろいろ言いたいところですがね、いわゆる「B級映画度」というかカルト度は抜群。とびきりマニアックというか好事家向けの一本ね。

  
 

1977年12月封切りのこの作品。あの「スター・ウォーズ」が全米で大評判になり、日本でも封切り前からSF映画が大ブーム。その封切り前にひと儲けしようと2か月足らずであわてて作られたアンチョクな便乗企画映画、なんて調子の辛辣な批評が支配的のようです。タイトルの「惑星大戦争」は当初スター・ウォーズの邦題候補だったそうで、そんな事情もあってか、批判の矛先はまず企画そのものに向かっているわけですね。

  
 

でも今回初めて観た感想としては、あの毛むくじゃらさん以外はどっこもスター・ウォーズに似てません。ストーリーもキャラクターもメカデザインもね。「遠い昔、宇宙のどこかで・・・」と始まる、いわゆるスペースオペラという感じも全くありません。だって舞台が1988年の地球と金星のみですからね。このように、内容的には「スター・ウォーズそっくり」という汚名を受ける言われは無いのではないか、というのが偽らざる印象でした。

 
 

ところで付属のブックを読むと、「スター・ウォーズの日本公開にあたり、20世紀フォックス、東宝、東宝東和の三社で公開日を発表、その後公開までの期間に東宝は1年をかけて宇宙SFブームの盛り立てに様々な戦略を打ち出した・・・」とあります。つまり、スター・ウォーズは1978年の日本公開時、「東宝洋画系」で上映されたわけです。ということは、東宝の立場としては、「スター・ウォーズ大ヒットの布石」として「SFブーム盛り立て」のために急遽「宇宙大戦系SF映画」を作る必要が生じたと同時に、それ自体はまさか内容的に「スター・ウォーズそっくり企画」にするわけにはいかなかったはずだった、と考えられます。

  
  

ではなぜ不名誉な言われ方をしてきたのか、ということですが、自分が考えるに、原因は同時期に他社で企画製作されたもう一本の「宇宙大戦系SF映画」と、セットで語られることが多いためではないかとおもいます。その映画とは、東映製作の「宇宙からのメッセージ」。

  

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1978年、スター・ウォーズ日本公開直前に劇場公開されたこの作品、あの任侠映画の東映が総力と15億円の破格の制作費をかけた、日本映画史上でも最高レベルの超大作、として評価と結果を残す「はずだった」作品でした。詳しくはWikiなどを見ておいてください。実は自分も当時映画館に行きまして、「前評判とその現実」を目の当たりにした一人でした。まあ、設定はそれなりに気に入って、パンフ(2枚目の画像)も買いましたし石ノ森章太郎先生のマンガ版も買ったりしましたがね(今はマンガは紛失・・・)。映画そのものについては、正直ちょっとね、残念だったかなという作品ではありました。

  
 

で、この「宇宙からの・・・」こそが、ストーリー、キャラクター、メカデザインともに、かなりまずいレベルで「あの映画」をトレースしていたわけです。詳しくはここでは書きませんが、改めてパンフをめくるとね、東映の任侠ものやアクション映画でおなじみの俳優の方々がまさに「あの映画」を演じているとしか思えない世界がそこに展開しているわけで・・・

  
 

今、時は流れて、「スター・ウォーズ公開当時の邦画の思い出」的な視点でこのあたりの事情を語ると、つい「スター・ウォーズ VS 日本版SF映画」の図式でくくられて、「お手軽に作られたそっくり映画」とセットで呼ばれてしまっている、ということのようです。でも前述の事情で、東宝製作の「惑星大戦争」は、たしかにお手軽かもしれませんがニセることができるわけはありませんし、逆に東映製作の「宇宙からの・・・」はそのあたりはかなり危険なレベルですが、製作には力も金も大いに使われていて、決してお手軽な作品ではありません。これらの映画を正しく評価しようとするならばね、つまりひとくくりにしてはならないのでは、とおもうわけです

  
 

ただし、ですね。では「惑星大戦争」は独自の発想に基づく映画だ、まったく「シロ」だ、と言えるかというと、それは別の意味で怪しいようで。それはね、まあ一度冷静に観てみれば気付くとおもうのですが、「スター・ウォーズ」ではなく、1977年8月に公開された「宇宙戦艦ヤマト劇場版」(TV版の初回放映は1974年~)にかなりイメージが重なるんですね。銀河の彼方から強大な科学力を持った宇宙人の帝国が攻めてきて、地球上は壊滅状態。その時人類最後の希望となる宇宙戦艦が発進し、壮絶な戦闘の末、敵の基地を壊滅だ!とね。ここまでまとめると、一緒でしょ?そう考えると最初の「実写版」?・・・面白いのは、実は「宇宙戦艦ヤマト劇場版」の地方での配給は東映なんですね。なので東宝としては逆にヤマトにはなんの遠慮する理由も無いわけですね。もちろん当時の東宝関係者の思い入れとしては当然ヤマトを意識などしてませんよ、「海底軍艦」轟天号を宇宙に飛ばすという東宝長年のアイデアなんですこっちが先ですよということなんですがね。つまり実のところは東宝系 VS 東映系の図式により、結果として何とも皮肉な、「スター・ウォーズ」「惑星大戦争」組 VS 「宇宙からのメッセージ」「宇宙戦艦ヤマト劇場版」組の、「疑惑のたすき掛け」状態になってしまったと言えなくもないかと。

  
  

もちろんあれに似ているだこれに似ているだなどというレベルの議論に終始するよりも、映画としての面白さ、楽しさについて語るほうが本来とはおもいます。まあ、残念なことに肝心の映画の出来としては、B級の枠を出るものではありませんが。やはり予算と時間が非常に厳しいなかの製作であったこともありますが、何よりも東宝が、というより日本が世界に誇ってきた特撮技術とその製作環境そのものが、このころにはすでにハリウッドに大きく後れをとってしまっていたのがつらいところです。ドラマとしての出来や演技演出についてもね、「マイティジャック」とあまり変わらない、TVドラマレベルといったら言い過ぎでしょうか。でもまあ、それはそれなりの面白さもたしかにありますし、こちらのハードルも低い分、思ったほど腹も立たず、意外に楽しめたのも事実です。

  

 

映画には名作もあれば迷作もたしかにあるわけで、この映画は客観的には残念ながら後者の部類に入れざるを得ないのかもしれません。ほめるより批判するほうがたしかに楽なレベルの作品ではありますね。ただ、「スター・ウォーズ」、「宇宙からのメッセージ」、「宇宙戦艦ヤマト劇場版」との関係、映画が作られた理由については、誤解されている部分が多いとおもいます。あれに似ているこれに似ている、という議論とは違うところで、純粋に「B級作品」なりの楽しさを味わっていきたいとは、おもいますね。

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