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2010年11月24日 (水)

「東宝特撮映画DVDコレクション」第31弾 「ゴジラ VS モスラ」 ライバルはモスラよりトトロ?

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平成VSシリーズ最高の観客動員数420万人なんだそうで。今観直すと、確かに力の入った作品とおもいますし、ファミリーで安心して観ることができる「良質の」娯楽ファンタジー映画であると、改めて納得するところです。まあ、それで本当に良いのかは別として・・・

 
 

「ゴジラ(1984)」がややトラウマになって、以降東京SOSまで映画館には足を運んでいません。この作品もTVでおそらく2~3回観ただけでしたが、印象は正直芳しくありませんでした。ちょっと子供っぽく感じたんだとおもいます。その後、1~2年前にレンタル落ちの中古VHSビデオを入手して観直した時に、あれ、おもってたより良いなと感じたのですが、その時は理由までは考えませんでした。

  
 

この映画が封切られた1992年は、バブル崩壊の年として記憶されているわけですが、たしかに異常な贅沢生活感はなくなったものの、このあいだのリーマンショックに比べればまだまだ世相としては総中流意識も残っていて、フツーの生活者にはダメージは限定的だったと記憶しています。そんな中、ご家族の楽しみのなかで、ファミリー向けアニメの占める位置はかなり大きくなっていった時節でした。ポケモンはまだ先ですが、「クレヨンしんちゃん」や「美少女戦士セーラームーン」のTVアニメ放映が始まった年でもあり、「ドラえもん」や「ジブリ(この年はすでに「紅の豚」)」はすでに劇場用アニメとしてビッグネームになっていました。つまり、お子さん向け、ご家族向けのビジュアル系娯楽の主流は、とっくの昔に「怪獣映画」ではなくなっていたわけで。  


 

そんな中での「420万人」ですから、大したもんだ、といって良いとおもいます。ではどこに魅力が、というところなんですけどね、私見としては、「なんでもあり」のバラエティ的欲張り企画がそれなりに奏功したのではないかと考えます。基本線はもちろん人気No1を争うゴジラとモスラの怪獣バトルなんでしょうけど、それに絡むあれやこれやのネタの数がすごい!大隕石だ、インディジョーンズのパロディ(というかパクリ?)だ、秘島探険だ、なんていうコッテリな導入部につづいて、古代文明に地球生命に守り神にと話は際限なく膨れ上がります。モスラ出現の件は「モスラ(1961)」と「モスラ対ゴジラ」のセルフカバーな展開ですし、それでも足りないと思ったか、新怪獣「バトラ」(ばとるもすらの略らしいが、古代から英語はあったのか?)さんまで投入です。

  
 

そして、それらのあまたのネタをまとめあげているのが、「環境破壊への警鐘」と「親子の絆」という「二重らせん」というわけで。そうとうベタな扱いではありますが、お子様向けとしては正解でしょうし、一緒に観ている親御さんの心理状態としても、ついつい一緒に引きずり込まれてしまうのでしょうね。要はドラえもんやトトロと同じ(か、ごく近い)レベルで楽しめる「ゴジラ」ということなのでしょう。前作の「VSキングギドラ」から、立ち位置としてはここを狙っていたようですが、「モスラ」というファンシーかつフェミニンなキャラクターに頼ることで、一層わかりやすい作品に出来たようです。

  
 

映画のディテールについては、大河原監督の演出は良くも悪くもさらりとしていて、深さはない代わり、妙な気負いやくどさはありません。これでもかのエピソードを上手につないで、良いテンポで見せているとおもいます。そういう意味では、平成VSシリーズ中でもっともこなれた演出と言えるかもしれません。ただ、古代文明の設定とかマントルの中を進むとか、個々のエレメントはSFとしての理論的練り込みが不十分で、そこに引っかかるともうね、いきなり入っていけなくなってしまう。それでも前作のVSキンちゃんでタイムパラドックスに引っかかった時ほどは気にならないのは、「モスラ」の基本設定の非科学的、もとい、ファンタジー的な立ち位置が、はなっから「そんな細かい事」を気にしなくなる効果をもっているためでしょうか。

  
 

俳優さん方の演技も、リアル系ではなくあえて型にはまった(パターン化された)分かりやすさや親しみやすさを重視しているようです。端的なのが娘さん役のお子さんの、学芸会的なせりふ回し(昭和ガメラのオマージュにも感じました)とか、自衛隊幕僚トリオがいつも3人並んで順番にセリフを言うシーンとかですかね。特撮も、当時のレベルを考えても必ずしも「凄い!」と言えるものではなく、むしろビルの造りや合成カットなどにチープなところも目に付くのですが、全体の中で考えると、川北監督らしい清潔感のある舞台セットが先の演出とシンクロして、「お子様でも安心して破壊を楽しめる(?)」絶妙の立ち位置をキープできているのだとおもいます。グロくやったらレイティングがNGでしょうからね。

  
 

そういうわけで、「客観的には」なるほどな、というまとまりある出来のこの作品。狙いに対してものすごくプロフェッショナルに回答を出し、420万人という立派な記録を作ったスタッフの皆さんに敬意を表させていただきたいところです。そういう意味ではやや独りよがり感のある「ミレニアムシリーズ」よりも、プロの作品なのかもしれません。ただね、「個人的には」ゴジラをファミリーで楽しもうとはおもってませんのでね、正直物足りないのも実感ではあります。「ガメラ2」を当時小学校の娘と観に行って、その後二度と怪獣映画に付き合ってもらえなかったお父さんとしてはね、「怪獣映画は大人のもんじゃい!」と、さびしく(心の中で)叫ぶわけですよ・・・

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