“50代の落書き”「フィフティズ・グラフィティ」のコンセプト

« 映画版「ブレイブ ストーリー」 通過儀礼的良質RPGファンタジー | トップページ | ますむらひろし「夢降るラビットタウン」 もう一つの世界観の到達点 »

2010年8月24日 (火)

「東宝特撮映画DVDコレクション」第24弾 「メカゴジラの逆襲」 情熱が空回りした?異色作

100823toho1

タイトルに「ゴジラ」の名前が入らない、唯一のゴジラシリーズ作品なんだそうで。それ以外にも異色作としてのチップスがいっぱいのこの作品、力の入れ様と「結果」とが必ずしも思惑通りには結びつかなかったようですが、スタッフの情熱が痛いほど伝わってくる、素敵な作品だとおもいます。

  
  

1975年に公開されたこの作品、結果的に歴代ゴジラ観客動員数の最低記録(97万人)に甘んじたため、その後9年間の空白期間を生む事になってしまった原因となったわけであります。その割にはけっこう意欲的で、タイトルの話もそうですが、そのほかにも本多監督の復活や、第1作を意識したような大人向けの演出、恋愛を前面に出したこれも大人向けのストーリー、今までになく派手な体色の新怪獣「チタノサウルス」の設定、そしてなによりもゴジラより敵の怪獣たちにスポットを当てた特撮演出など、枚挙にいとまがありません。

  
  

かとおもえば、子供たちのSOSにゴジラが救いに現われるなど、ガメラ?というようなシーンもあって、当時のゴジラの微妙な立ち位置がかいま見れて、少々複雑な心境になりますね。

  
  

力が入っているわりにはお客さんは入らなかったのは、以前「ゴジラ対メカゴジラ」の時にも書きましたが、「誰のためのゴジラ」?が、伝わりにくかったためかも知れませんね。むしろ「ゴジラ対メカゴジラ」よりも「大人向け」演出は強まっている感じがするのですが、では大人が本当に満足できるかというと、う~ん、どうでしょう、いまさらわざわざ映画館まで行って、怪獣映画を観てやるぞとさせるにはね、弱い感じがね。といって、子供向けには少々ヘビーな感覚で、すっきり楽しめそうともいいがたい。

  
  

ゴジラの存在感もいま一つですし、それより分かりにくいのはメカゴジラとチタノサウルスの力関係で、作品のタイトルは「メカゴジラの逆襲」なのですが、ドラマの重心はむしろ「チタノサウルス」の動向に傾いているようで、特に前半は「メカゴジラ」の存在感は希薄です。後半は「メカゴジラ」はがんばるのですが、前作の時のようなクレイジーな強さは感じませんね。なにかあっさりしています。ではチタノ君はというと、超音波装置を打ち込まれて以降は体調不良で事実上使い物になりませんのでね、誰が主役なのか、どうもすっきりしません・・・

  
 

特撮シーンは、前作の、自衛隊の出てこないあまりにも不自然な設定よりは大分ましですが、肝心の怪獣対決シーンはやはり「お山のセットでプロレスごっこ」になってしまっていて、大人の鑑賞には不十分ですね。爆破シーンとかは大迫力で、これは中野特技監督の持ち味だとの事で素晴らしいのですが、全体クオリティでは厳しいものもありますね。

  
  

でもね、「狙い」としては悪くない、とおもうのですよ。要は、「カッコいい」ゴジラ映画ね。単に子供向けの甘口にせず、重厚な演出によって荒唐無稽な設定にもリアリティを持たせて、結果として新しい切り口の「怪獣映画」にまとめ上げる。子供向けにすることでブームは作れても、子供心は移ろいやすいものですからね、すぐ飽きられては後が続かないわけで。そういう意味ではゴジラ自体は子供にも親しみの持てるキャラクターを残しつつ、ドラマの部分を「大人風味の」スタイリッシュさでまとめることで、子供目線からも「大人っぽさ」的なカッコよさを感じられるような、新路線としたかったのでしょう。

  
  

なので、今観ると、「前作よりは」たしかに大人向けに上手にできているとおもいます。それなりにスリリングですし、「ミヤラビの祈り」のような、破天荒な設定もなく、良く世界観がまとまっているとおもいます。そりゃつっこめばいくらでもできるでしょうが、それは平成版をはじめ、どの作品にもいえること。素直に楽しめばそれなりに期待にこたえてくれるとおもいます。

  
 

ゴジラシリーズの多くは、常に新しいトライを続けるスタッフの情熱が感じられると同時に、それが予算やその他の事情で空回りしたように感じられる事も多いようです。でも、その情熱が感じられる限り、そしてその情熱が形になって伝わるシーンがある限り、作品にはそれなりの十分な魅力が感じられるのも事実です。この「メカゴジラの逆襲」もそんな情熱を強く感じる作品であり、興行成績だけでは語れない、独自の魅力を持った作品であるとはおもいます。

  
  
  

おまけとしては、ヒロインの藍とも子さん、麻里とも恵さん(後のジャスボーカル阿川泰子)、お二方ともとてもお綺麗でした。本当に色々な「大人的」素敵要素が集まった、けっこういけてる作品とおもうのですがね・・・タイトルといい、ちょっと分かりにくい作品だったのかなあ?

« 映画版「ブレイブ ストーリー」 通過儀礼的良質RPGファンタジー | トップページ | ますむらひろし「夢降るラビットタウン」 もう一つの世界観の到達点 »

ゴジラ・怪獣・特撮」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/539101/49233488

この記事へのトラックバック一覧です: 「東宝特撮映画DVDコレクション」第24弾 「メカゴジラの逆襲」 情熱が空回りした?異色作:

« 映画版「ブレイブ ストーリー」 通過儀礼的良質RPGファンタジー | トップページ | ますむらひろし「夢降るラビットタウン」 もう一つの世界観の到達点 »

フォト
2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
無料ブログはココログ