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2010年1月23日 (土)

「東宝特撮映画DVDコレクション」第9弾 「ラドン」は早すぎた究極!

100122toho1東宝式特撮のキモは、やはりミニチュアワークだと再認識させられる映画です。特に福岡の市街地とラストの阿蘇山のセットは「究極」と言って良いでしょう。そして今日まで、これを超える作品は恐らくありませんでした・・・そしてそれこそが問題・・・?

 
 

この「ラドン」が、数ある「怪獣映画」の中でも屈指の名作である、という事に異論を挟むつもりは全くありません。キンゴジ以降のファミリー向けエンタメ路線とは一線を画す、リアル&シリアス系のなかなか硬派の作品です。

   

東宝の「怪獣もの」としては、「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」に続いて3本目となるようです。なので作風も「巨大怪獣=無差別破壊の恐怖=戦争の象徴」の図式をしっかりと受け継いでいるわけですが、この映画はそれに加えて、前半の「メガロドン」が炭鉱町を襲うシーンで表現される、「等身大の怪物」のもたらすサスペンスホラー調の恐怖を組入れたところが新鮮です。

  

そして初めての「総天然色」作品という事で、色彩計画の素晴らしさを賛美する声が大きいようです。自分も、この点は納得ですね。青空をバックに赤いラドンが飛び回るF-86Fとの空中戦シーンはもちろんですが、冒頭のタイトルバックから炎の赤が象徴的に取り入れられ、ラストの阿蘇山噴火の伏線になっているような凝った演出が素敵です。とにかくカラーの良さを最大限に生かそうと、徹底的に練りこんだ感じが伝わってきます。「キンゴジ」のワイド画面をいっぱいに使った演出もそうでしたが、この辺の感覚の良さが、円谷さんの真骨頂なのでしょう。

 

ドラマ部分も、テンポのよい本多監督の味が存分に発揮されているとおもいます。十分にリアルなのですが重過ぎない、ある意味都会的なケレン味のない演出が、物語によいリズムを生み出している感じです。

 

でもなんと言ってもこの作品の最大の見所は、ここまでやるかと言いたくなるほど作りこまれたミニチュアセットの素晴らしさでしょう。以前、モスラのセットを凄いと書きましたが、単純に比較すれば自分はこの「ラドン」の福岡のセットに軍配をあげます。昭和31年作品(50歳の自分でもまだ生まれてません!)なんですよね。モスラよりもさらに5年古い。当時の材料や機材で、どうやってあれだけのものが作れたのか、全く不思議です。

 

さらにこのセットが凄いのは、ソニックブームでの崩壊のしかた、つまり風で吹き飛ばされるという、なかなかハードルの高そうな破壊シーンなのに、信じられないくらいリアルにそれが表現されている点でしょう。なんでも屋根瓦の1枚1枚をボール紙で作ったとか、凄い話を聞きますが、見た目の尋常でない作り込みだけでなく、壊れ方まで計算されつくされている事には感動すら覚えます。カットによっては現代の目で見ても一瞬実景か、と見間違う事があります。まあ、戦車やジェット機は急におもちゃを感じて現実に引き戻されはしますが、総合的に見て、当時世界最高のミニチュアセットであった事は間違いないとおもいます。

ラストの阿蘇山一帯のオープンセットも同様に、そのスケール感も含めて、本当に素晴らしいものだとおもいます。爆破シーンは高速度撮影を使っているようですが、なかなか重量感があります。なんといっても本物の溶鉄を使った噴火のシーンは圧巻で、焼け落ちるラドンの情愛すら感じさせる演出は、「ゴジラ」の神秘性までは無いものの、これはこれでけっこう胸を打つものがあります。特に絵的には本当に美しいラストシーンだとおもいます。

 

個人的には総合評価で「モスラ」、轟天号ご贔屓で「海底軍艦」あたりについ肩入れしてしまいますが、「特撮No.1」を選べ!と言われれば、文句無くこの「ラドン」を推します。で、けっきょくこれが、東宝怪獣映画の最大の問題点。こんな初期に極めてしまって、あとは限りなくジリ貧になっていってしまった、と書くと怒られるかもしれませんがね。予算とかいろいろな問題があったんでしょうけれど、結果だけ見ると本当に残念です。

 
 
 

「アバター」まだ見ていませんが、きっと凄いんだろうなとはおもいます。ただね、「ラドン」のミニチュアセットは、ある意味負けていないんじゃないか、ともおもうんですね。その時代その時代の「究極」がそこにある、という点ではね。

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